あの悲しみが二度と訪れませんように・・・・・・・・・。































少女のたった一つの願いは心の中で何度も繰り返し、まるで呪文のように唱えられた・・・・・・・・・。






























光 〜ひかり〜

































まだ、数日前のこと・・・。
少女は自分の母親に捨てられた。
自分にとって母親とは一体何なのか・・・・・。
幼い少女には意味すら知ることさえ出来ずに心の中で悪夢を繰り返す・・・・・。































あの悲しみが二度と訪れませんように・・・・・・・・・。
































自分の名前すら呼んでもらったことは無くとも、母親に必要とされたっかった・・・。
































ただ、それだけの気持ちが自分の母親をも殺してしまう結果となってしまった。
































必要として欲しかった・・・・・・・・・。
































それだけだった・・・・・・・・・。
































「お前はどうしてここへ?」
施設から少し離れた場所まで来るとクロロは突然、思い立ったかのように振り返り少女に聞いた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
少女はクロロの質問に対し、どう答えて良いか分からずに黙ったままだ。

「この街にいる奴等は皆、多かれ少なかれ事情を抱えている奴が多い。
 ここへ来る前に何があったかは深く追求するつもりもないし、お前が他の奴等の目を気にすることは何もない。」

クロロには何もかも分かっていたのだろうか?
そうではないのは分かっていても少女にとっては有難い言葉だった。






二人は流星街にあるという “ある場所” を目指し走り続けていた。
流星街に来たばかりの少女には全く検討もつかない場所・・・。
当然、見たこともない道をただクロロの姿を追いかけて走り続けていた。
クロロから微かに伝わってくる想いだけを信じて少し先を行くクロロの後姿をただ追いかけていた。






「大丈夫か?」
クロロは急に立ち止まると少女に声を掛けた。

「・・・・・うん。」
少女はクロロが先を走りながらも自分のことを気遣ってくれているのを知っていた。
そんなクロロの後姿を見ていると記憶の中に忘れかけていた “安心” という気持ちまでもが
戻ってくるような気さえしていた。




















「少し話でもするか?」
ゆっくりとした速度で歩き出したクロロが少女に言った。


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
少女は何も答えることができないままでいる。























春の暖かい日差しと静かな時が二人を包み込む・・・・・。





















クロロと少女は黙ったまま、またゆっくりと走り出した。












「・・・・・・どうして?」
少女は立ち止まり、周りの音に掻き消されてしまいそうな小さな声でそっとクロロに問う。



「・・・・・・・・・。」
クロロは微かに聞こえてきた声に耳を疑うかのように足を止め振り返った。

「・・・・・・・・・。」
少女は真っ直ぐにクロロに視線を向けている。



「何故だろう・・・・。そう聞かれると難しいな。」
そう言ったクロロはまたゆっくりと走り出す。










少女にはしかっりとクロロの気持ちが届いていた。




















『お前は一人じゃない・・・・・。』




















少女はクロロの背中にそっと呟いた。

































“ありがとう”
































あの悲しみが二度と訪れませんように・・・・・・・・・。
































そう強く願った少女の心の闇には弱くても微かな一筋の光が差していた。
































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