あなたは、いつも果てしない夢を追いかけている少年のままだった。




































あの頃と変わりない何かを追い求める瞳の輝きを残したまま今も・・・・。
































夢 〜旅団結成前〜




二人が5年振りの再会をしてから早くも1年が過ぎようとしていた頃、はクロロから
「話がある。」
と、とある街にあるカフェに突然呼び出された。

















「ごめん!待った?」
カフェに到着したは慌てた様子でクロロの座るテーブルに駆け寄る。


「30分遅刻だな。」
クロロは店内の壁掛け時計で時間を確認するとそう言った。

「ホントごめん・・・。」


テーブルの上に置かれている空っぽのコーヒーカップを見れば待っていたのは30分ばかりではないことがすぐに分かる。


「いや、お前が遅れたのは仕事の最中に呼び出した俺に責任がある。」
「でも・・・。」
「気にするな。」




ゾルディック家に引き取られることになったあの日からクロロと再会するまでの5年間で一人前の殺し屋として
育て上げられたは今では依頼があれば世界中どこにでも行き仕事をこなすようになっていた。




「こんなに遠くまでクロロがわざわざ来るなんてよっぽど大事な話?」
上着を脱ぎ椅子に掛けながらは内心ドキドキしながら聞いた。



・・・。」



「な、何?」



「何も頼んでこないのか?」
「?・・・・・あ!そっか ! ! 入り口のレジで注文するんだ?」
周りの客を見てが気付く。

「そういえばレジ素通りしてきてたな。」
がこの店に入ってきた時の様子が頭の中でよみがえり思い出し笑いをするクロロ

「クロロは同じのでいい?」
「あぁ、頼む。」

は小走りでレジまで行くと二人分の注文を済ませた。

「お待たせ!・・・はぁ〜やっと落ち着いて座れる・・・。」
はようやく席に着き注文したアイスティーを口にする。


「お疲れだな。」
うなだれた様子のを見てクロロが言った。

「だって時間過ぎてたから超ダッシュで来たもん!」
何故か威張ってが言った。
「だろうな・・・。すごい音と共に現れたからな・・・。」
「嘘 ? ! 」
「殺し屋のあるまじき行為・・・バタバタと・・・・・・。」

その言葉を聞いては恥ずかしくなり周りをキョロキョロと見回す。

そんなを見てクロロは静かに微笑んだ。

「けど、よかった・・・。」
「?」
「 “話がある” なんて真剣な声で呼び出されたから『もう終わりにしよう。』とかだったらどうしようかって・・・。
 心の準備までして来たんだから!さっきまでドキドキだったし。」
クロロのいつもと変わりのない態度に安心したは本音をポロリと漏らした。

「何だ?そんなこと心配してたのか?」
「するよ・・・。最近お互い時間合わなくて連絡も取ってなかったし・・・。」
「心配することはない。捨てられるとしたら俺の方だろうからな?」
クロロは冗談混じりに言うと笑った。

「よく言うよ・・・で、話って何だったの?」


「実はな・・・・・・・・・。」
クロロは目の前にあるコーヒーカップを手にし一口だけ口にすると話を続けた。

















「それって早く言えば盗賊団ってこと?」
一通り話を聞き終えたが言った。


「欲しい物の為なら手段を選ばない・・・それが幻影旅団だ。」
「幻影旅団?」
「俺が頭でメンバーは手足となり世界中を旅して欲しいものを “盗る” 」
そう話すクロロの顔は希望に満ちている。

「・・・・・いいんじゃない?それで最近、音沙汰なしだったワケね。」
静かな瞳の奥にキラキラと輝く光をみた時、はクロロと出会ったあの日のことを思い出していた。


「近いうちにメンバーで顔合わせがある。それがおわったら正式に活動開始だ。」
それはが知っているクロロの中で最も自信に満ち溢れた姿だった。




「ね、クロロ・・・。」

「何だ?」

「それを私に言う為にわざわざこんな所まで来てくれたの?」
クロロをジッと見つめるの顔はとっても幸せそうに見える。

「そうだが・・・それがどうした?」
クロロには何故が嬉しそうにしているか見当がつかないでいた。



「ありがと。」

「あぁ・・・・・・。」



クロロは満面の笑みを浮かべるに見つめられると熱く込み上げる何かを感じた。



「・・・・・・・・もしかして・・・・・・・・クロロ・・・照れてる?」
はうつむいたままのクロロから眼を離さずにいる。



「黙れ・・・。」
クロロは頬杖をつくようにして手で少し赤くなった顔を隠すとそっぽを向いた。



「かーわいぃ♪」
はストローをクルクル回しながら茶化すように言うと笑った。





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