つきあかり








「何だ?マチ、出掛けるのか?」

「人と会う約束してる。」
マチが約束の場所に向かうため仮宿(アジト)を出ようとした時、ウボォーとノブナガも偶然どこかへ
行く予定だったらしく声を掛けてきた。

「どこまで行くんだ?」

「ムーンライトパークだけど?」





ムーンライトパーク=この近辺では待ち合わせと言えばこの場所だ。
            公園の正面入り口近くには大きな時計台や噴水があり
            そこを目印に待ち合わせる人は少なくない。
            観光名所でもあるこの公園の近くには地下鉄や路面電車、バスなどの駅もあり
            大道理にはいくつもの店や高級ホテルが立ち並ぶ





「ちょうどよかった。俺達も今から街に出るとこだったから一緒に行くか。」



そんなことから三人は一緒に電車を乗り継ぎムーンライトパークへ向かうこととなった。



「それにしてもマチが蜘蛛以外の奴と会う約束なんて珍しいな。」
ウボォーが不思議そうに言う。

「そう?」
いつものことながらマチがクールに返す。

「男か ? ? 」
興味津々なウボォーは更に突っ込む。

「お前、こいつにそんな相手がいるように見えるか?」
ノブナガは冷めた口調でウボォーに言う。

「アンタに言われたくないね。」

「で、どっちなんだ ? ? 」
マチとノブナガの険悪な空気も無視しウボォーが聞いた。

「女だ!」

「ほら見ろ。」
やっぱり・・・といった感じのノブナガ。

「黙ってな。」
さすがにマチも頭にきた様子でノブナガに言い返す。

「おぉっっ ! ? 女かぁ〜 ! ! 」
どこまでもマイペースなウボォーが目を輝かせる。

「ちょっと!勘違いしてるみたいだから言っとくけどウチ等は一緒に遊びに行くわけじゃないんだから。」
浮かれるウボォーにマチは釘を刺す。

「まぁまぁ、硬いこと言うな!偶然にも同じ方向に向かってるんだしよ?」
ウボォーはニコニコしながらのん気に言った。

「この様子じゃ何言っても無駄だろ?」
浮かれるウボォーの様子を見てノブナガがマチに言った。

「放っておくしかないって事だね・・・。」
「まぁな・・・。」
マチとノブナガはウボォーを遠めに見ると納得したかのようだ。


「(街に向かうなら嫌でも会うことになるか・・・。)
 付いて来るのは構わないけど一緒に行動はしないからね。」

「おぅおぅ ! ! 分かってるってばよ♪」





そうしているうちに電車は駅に到着し、三人は大通りを歩き出した。





「公園前で待ち合わせてるのか?」
少し歩いて公園が見えてきたころウボォーがマチに聞いた。

「入り口入ってすぐの所だってさ。」

「おいノブナガ!楽しみじゃねーのか?」
引き続き浮かれた様子のウボォーが言った。

「あぁ?お前と一緒にするんじゃねーよ。」
さすがにノブナガも呆れた様子で言い返す。

「おぉ ! ! 着いたぞ?どこだ?」






周りを見渡すとほっそりとして大きな瞳の一際目立つ女の子に目が留まる。






『ピュ〜♪』
思わずウボォーが口笛を鳴らした。






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