誰の前でも弱さなんか見せない貴方





その堂々たる姿の裏に隠れたもう一つの顔を知るのは私だけ・・・。





二人で居る時の貴方が大好きだから





ねぇ、





甘い言葉を囁いて





そして私にだけ甘えてみせて










あなたが眠るまで










「ねーえー。」
「・・・・・・・・・・。」
「聞こえてますかー?」
「・・・・・・・・・・。」
「もぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ! ! ! ! 」
、さきから煩いね。少し黙るといいよ。」


2月14日(火)
女の子にとって一大イベントとも言える今日、この日。
長年の想いをやっとの思いで実らせたのが去年。
フェイタンの掴み切れない性格や行動に毎日振り回されて安らぎを求めるどころか悩み続ける日々。

一体、フェイタンは私のドコを好きになったんだろう・・・?

そんな疑問なんて小さな悩み。
こうして正式に付き合うようになって1年近く経つというのに未だにフェイタンからの愛の言葉はナシ。

本当に私達、付き合ってるんだよね?

だから自然に私の悩みの種は、こうなってしまう・・・。
多くを語らないフェイタンが好きで、何処と無くしっとりとした雰囲気を醸し出すフェイタンに恋をして
それでもクールさを崩さないフェイタンと恋に落ちた。
なのに会う度に私の方が “ 好き ”なんだ・・・って思い知らされてしまうのは惚れた弱みなんだろうか?


「ねーえー。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・今日、何の日か知ってる?」
「・・・・・、そんな事も知らないか?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ ! ! 」
「さきから一体、何言いたいね?」
「ほら、だって・・・」
「ハッキリしない人ね・・・。」
「わ、分かった! 今すぐ言うから無視だけはやめて ! ! 」
これが本当に恋人同士の会話なんであろうか?
自分の中の疑問も今は答えている余裕なんて一時もない。

「今日バレンタインデーでしょ?」
「知てるなら何故聞いた?」
「だーかーらー・・・」
が言葉に詰まった瞬間、フェイタンは伏せて膝の上に乗せた分厚い本に手をやった。
「待って!待ってってば ! ! 」
「早くするいいよ。」
「デートした・・・い・・・」
「何言てるか、せっかくの休み休むの当たり前。」
敵は一筋縄ではいきそうも無いのは充分承知だったけど、こんなにアッサリ断られちゃってる私の立場って・・・。

「分かった!」
「まだ何か言うか?」
「外じゃなくて家の中で ! ! 」
「・・・好きにするいいね。」

案外簡単に落ちた敵の真意は、この際ムシ!
日も傾きかけて窓の外は夕焼け雲。
何もしないよりマシだから急いで買い物に行って・・・
そんな時間ないじゃん ! ! !
とりあえず家にある物で・・・

の心はふわふわと宙に浮くような感じだった。

「フェイタンはそのまま本ね!」
さっきとは打って変わった態度。
恋の力は偉大。
フェイタンに承諾を得るだけで心に余裕さえも出来てしまう。

フッフッフ・・・

怪しい含み笑いをするとはそのままキッチンへと姿を消した。





午後7時
ついさっきまで夕方だと思っていたのに窓の外はすっかり暗くなっていた。
やっとの思いで料理を作り上げるとお気に入りのグラスとワインをテーブルに運び準備完了。

「出来た!」
家中に漂う香りとの大きな叫び声に釣られフェイタンが読んでいた本をパタンと閉じた。
その姿を確認したは嬉しそうにフェイタンの腕を引っ張りテーブルの椅子を引く。

、今日はサービス満点ね。何か企んでるか?」
ギクッ。
「そ、そんな事、ないってば!ささ、召し上がれ。」
「・・・・・・・・・・。」
も続いて席に着くとグラスに注いだワインを揺らし何にか分からない乾杯の音頭を取る。

「嫌そうな顔をしていても乾杯に付き合ってくれるフェイタンに乾杯!」

フェイタンは黙々と料理を口に運ぶ。
毎度の事ながら文句も言わなければ誉めもしない。

「フェイタン、このワイン美味しいよ。」
「・・・・・アルコール得意じゃないの知てるね?」
「・・・分かってるけど、せっかくだし・・・。」
「・・・・・少しだけなら飲んでもいいよ。」
「ほんと ? ! 」
「そんな事で嘘つく思うか?」
「いやいやいやいや、ささ、グビっと・・・。」

グラスの中の葡萄色がキャンドルの光に照らし出され透けて見える。
それを興味深そうに見つめた後、フェイタンはグラスに口を付けた。
それはにとってとても幸せな風景だった。

「どう?」
「意外と美味しいね」
「でしょ ? ! 」

その言葉を聞いては空になったフェイタンのグラスに再度ワインを注ぐ。
続いてフェイタンがワインを口に含む。

名付けて “ フェイタンを酔わせて甘えよう作戦 ”

何回か繰り返された後、フェイタンは猫のように丸まってテーブルに顔を伏せた。

「フェイターン?」
「・・・・・・・・・・。」
「おーい。」
「・・・・・・・・・・。」
「チッ、失敗したか・・・?」
席を立ったはフェイタンの肩にそっとひざ掛けを掛けようとした。

『ガタッ ! ! 』

音と同時にフェイタンの腕が伸びた。
力一杯抱き寄せられたフェイタンには体勢を崩し二人して床に倒れた。

「・・・・・痛ッ。」
「・・・・・・・・・・。」
「?」
物凄い衝撃で倒れたにも関わらず何も言葉を発しないフェイタンの顔をはゆっくり身体を起こすと覗き込んだ。
と同時にまたフェイタンの腕が首に回る。
今度はゆっくり抱き寄せられるとはそのままフェイタンの胸に顔を埋めた。

「フェイタン?」
「・・・・・・・・・・。」
沈黙のせいでフェイタンの鼓動が早くなっているのが分かる。

「フェイタン?」
繰り返しが呼びかける。

「・・・・・

「ん?」

「一緒に居る・・・」

「うん。一緒に居るね。」

「・・・黙って聞くね。」

「・・・うん。」

「今、一緒に居る・・・今まで無かた気持ち戸惑う時あるよ。」

「?」

「でもと一緒すごく気持ちいい思てる。」

「・・・うん。」

「これがきっと “ 好き ” いう気持ちね。」

「!」
不器用ながらも一言一言を大事に話してくれるフェイタンには精一杯しがみ付いた。

「これからもずと一緒ね。」

「・・・ありがと、大好き。」

フェイタンは真っ赤な顔を意外と大きな手で覆うと深く息を吐いた。

「可愛い・・・・・。」

「それ言たら二度と言うことないね。」

「も、もう言いませんから ! ! 」


作戦は一時は失敗したかのように思われた。
が、今回は見事に大成功 ! ! !
こんなフェイタンが見られるんだったら毎日でも酔ってもらいたい・・・。

もちろん私にも・・・ね。










甘い言葉は私だけ





可愛い姿も私だけ





それは至福の時





いつまでも一緒に・・・・・





チョコレートの神様だけが持つ神秘の力





これからはあなたが眠るまで





私に愛を囁いて





甘い甘い言葉を・・・・・









****あとがき****
はい、久々の更新です!
何とかバレンタイン前に完成する事が出来て安心してます(するな!
張り切ってケート設置させてもらって沢山の投票に大変感謝しています。
皆様のご協力をもとに出来たバレンタインフェイタンなのですが・・・・・。
まだまだ納得のいく作品を残せるような能力は持ち合わせていないので申し訳ないッス。
それにしてもフェイタン人気すごい ! !
そのお陰で私はフェイタンがいつの間にか書きやすいキャラへ変わりました(笑
書きやすいキャラが増えるって本当に助かります。
その事を含めて改めて私からお礼を・・・
ご協力して下さった皆様、本当に有り難う御座いました!

****お知らせ****
今回も企画では毎回行っているフリー配布をします!
2月14日までの短い間ですが、もらっていって下さる貴重な方がいらっしゃれば嬉し泣きします。
誰もいないとは思いますが、もしいたら報告してもらえると涙&鼻水で挨拶に伺わせてもらいますので
気が向いた方は是非どうぞ♪

※フリー配布はコピペでお願いします。











back