シトシトシトシト・・・シトシトシトシト・・・・・
昨日の夜、遅くから振り出した雨は今朝になっても止むことはなく今も地面を濡らし続ける。
シトシトシトシト・・・シトシトシトシト・・・・・
お願いだから雨よ、止んでよ・・・。
ベッドで
「うわ!まだ雨降ってるじゃん・・・。」
時間は朝の6時
は外の様子を寝室の窓のカーテンを少しだけ開けて確かめると、またすぐにカーテンを閉じた。
薄暗い部屋の中には寝息が聞こえる。
「私の苦労も知らずに幸せそうに寝ちゃってさ・・・。」
そう言うとは、気持ち良さそうに眠るシャルナークの鼻目掛けて鼻ピンをわざと掠らせた。
今日の為に前日から色々と準備もした。
慣れない料理でキッチンで繰り広げられた戦いで得たのは三段重ねのお重箱に入ったお手製のお弁当。
元々、料理をしない私の家のキッチンは毎日清潔さを保っていた。
それなのに・・・・・。
今は見るも無残な戦場の跡地と化していた。
後片付けには1時間以上もかかった。
それなのに無情にも雨は止む気配すら見せず降り続く。
眠っているシャルナークを起こさないように静かに雨の音を耳で感じ取る。
手持ち無沙汰で部屋の中を歩き回ってみるが解決策が見つからない。
寂しげなお重箱と用意されたお菓子達だけがテーブルの上で楽しそうにピクニックを始めているようだ。
「晴れてたら今頃、出掛けてるはずだったのにな・・・・・。」
ベッドの中でスヤスヤと眠るシャルナークの横に腰を下ろすとは諦めたように言った。
「そんなにガッカリした顔するなよ。」
シャルナークは寝返りを打ってを見ると頭を撫でた。
「シャル!」
「他の方法なんて考えればいくらでも出るって。」
ゆっくりと起き上がったシャルナークはカーテンを勢いよく開ける。
その姿は、自信満々といった感じに見えた。
「・・・・・操作系って言っても天気なんかは変えられないでしょ?」
「それは無理!」
「じゃ、何?」
「だーかーらー、それを今から二人で考えるんだよ!分かった?」
そう言い残すとシャルナークは寝室を後にした。
起きてから間もないシャルナークは信じられない程、慌しく部屋の中を行ったり来たりしている。
キッチンへ向かうとコーヒーを手馴れた様子で入れ洗面所へ向かうと歯ブラシを加えて再び寝室へと戻ってきた。
「まずは、コーヒーでも飲んで気分を落ち着かせる!」
シャルナークはにっこり笑うとに入れたてのコーヒーを手渡した。
「・・・ありが・・と。」
コーヒーカップを両手で包むように持つとはカップから上がる湯気を見つめながら
窓の外の音に耳を傾けた。
「どお?少しは落ち着いた?」
歯を磨き終わったシャルナークが再び寝室に現れた。
その手には何故か昨日が苦労して作ったお重箱に入ったお弁当。
紙袋イッパイのお菓子。
「?」
「せっかく作ってくれたんだから考える前にイメージでも膨らませてさ!」
ベットの上には苦労の結晶。
それを目の前にして、どうするかを考える・・・。
隣には満面の笑みで私を見つめるシャルがいる。
手に持っていたコーヒーカップを静かにサイドテーブルの上に置く。
ゆっくりシャルナークと向き合って、急に恥ずかしくなってきた。
“ 雨が降ってスネてる私って駄々をこねてる子供と変わらないじゃん・・・ ”
そんな事を考えながらベットの上の賑やかさをボーっと眺めた。
「シャル・・・。」
「ん?」
「もしかして・・・・・コレって?」
シャルナークの笑顔がキリリと引き締まった。
「やっと気付いた?」
「「ベッドでピクニック ! ! ! 」」
「正解!」
「うそ ? ! 」
「だから方法なんていくらでもあるだろ?」
「信じらんない!」
「こんな方法もたまにはいいんじゃない?」
「だね!」
そうと決まって、取った行動はベッドの上イッパイにお弁当やお菓子を並べる。
用意したスナック菓子の袋を二人で全部開けたら紙皿の上に好きな物をを乗せて座ったり寝転がったり。
少しくらいお菓子がこぼれたって全然気にしない!
時にはベッドの周りで追いかけっこ。
疲れたら休み、魔法瓶の中のコーヒーを飲む。
好きな本を読んだり世界の風景写真集を二人で見れば、異国の地へ瞬間移動。
卵焼きは少し焦げて、お世辞にも美味しそうなんて言えないけど恋人気分で「あ〜ん」すれば
ベッドの上は、いつの間にか最高のピクニックスポットと変わっていった。
「こういうのも悪くないね。」
シトシトシトシト・・・シトシトシトシト・・・・・
窓の外は朝から降り続く雨・・・。
だけど此処は最高のピクニックスポット
ベッドで
ピクニック
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