青い贈り物



『・・・・カン・・・・カン・・・・カン・・・・カン・・・・カン・・・・・・・ギィ・・・・』



「早かったな。」


いつもと同じように本を片手にしたクロロはソファーに腰を掛け背を向けたまま言った。


「予定ではもう少し早く着くはずだったんだけどね・・・。」
はある国の資産家暗殺の依頼を済ませたその足で幻影旅団のメンバーが仮宿として使用している廃墟へやって来た。



『ドサッ・・・・ガサガサ・・・・』


・・・その荷物の量は何なんだ・・・・・?」
の足元には大きな荷物やいくつかの紙袋が並んでいる。
「ここに来る途中に感じのイイ店があって見るだけのつもりで入ったんだけど・・・・・・・。」
「・・・・・・それが原因でお前の言う予定より遅れたって訳か?」
呆れたようにクロロが言った。
「・・・・・・そうとも言う・・・・・・・・。」
変に納得して答える
「・・・・・・・・・・・・。」
「けど、クロロにもちゃんとお土産買ってきたんだよ?ちょっと待ってね。」


『ガサガサ・・・・・・・・ガサガサ・・・・・・・・』


は無言なままのクロロにそう言うとたくさんの紙袋の中から小さな箱を探し出しクロロに手渡した。

「俺にか?」
クロロは手渡された小さな箱をジッと見つめている。
「それはアンティークショップみたいな不思議な感じのお店で見つけたんだけど・・・。まぁ、開けてみて?」


『・・・・ガサガサガサ・・・・』

クロロはの言う通り箱を開けた。

「これは?」

箱の中には青く輝く水晶のような玉が2つ入っている。
玉の上部には金でできた飾りが施されている。

「うーん・・・私も詳しくは知らないんだけど昔どっかの民族にいる限られた人だけが耳飾として付けてた物らしいんど・・・。
 クロロに似合いそうだぁー・・・って思ったから買っちゃった。」

クロロは箱の中で青く不思議な光を放つ装飾品らしき物から目を離すことなく見入っている。

「・・・・・気にいらなかった?」
心配そうにが聞いた。

「いや・・・思ってもない程の代物だ。」
「代物 ? ? 」
「・・・あぁ。お前の土産のおかげで次に手に入れる物が決まった。」
「そ?良かったじゃん!」

クロロとの間では "お互いの仕事の内容はあまり聞いたり話したりしない" というのがいつの間にか
暗黙のルールになっていた。

クロロもそれ以上は語らずも聞くことはなかった。


「それより、いつまでそんな所にいるつもりだ?」

はクロロがこの仮宿で使用している部屋に入ってすぐの場所で散らかった荷物と共に並んでいる。

「ちょっと買い過ぎた・・・かな?」
「安心しろ。お前がいくら散らかしたってこの部屋には誰も入って来ることはない。」
たくさんの荷物を冷静に見て呆然とするを見てクロロは微笑んでそう言った。
「〜〜〜〜そっかぁ・・・・。安心したらドッと疲れが・・・。」
その場で座り込んだは荷物に埋もれた。

「座る場所ならいくらでもある。そんな所に座ってないでこっちに来たらどうだ?」
床に座り込むを気遣うクロロ
「うん・・・・。」
はゆっくり立ち上がると倒れこむようにクロロの肩にもたれるようになだれ込んだ。

「よく考えたら私ってもう何日も寝てないんだった・・・。」
「お疲れだな。」

クロロは疲れ切ったの頭に手を回すとそっと抱き寄せ額に優しくキスをした。

「・・・・・スー・・・・・スー・・・・・」
はクロロの隣で幸せそうに眠りについていた。

そんなを見るクロロは愛おしそうな顔をするともう一度にキスをした。




****あとがき****

このお話の青い贈り物(耳飾)というのはクロロの耳に付いているアレの事です。(アレって・・・汗)
あの飾り物を今回は題材にしてみました。
あとがきを読む前に分かってもらえていたら嬉しいです。




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