大掃除 〜9月8日(晴)〜 『トントン・・・トントン・・・』 「・・・・ん・・ん・・。」 その日の朝早く寝室で気持ち良く眠っていたノブナガを起こしたのはドアをノックする音だった。 「すいませーん。速達でーす。」 朝から異様な程の元気な声が響く。 『トントン・・・トントン・・・』 「・・・おぅ・・今、行く!」 「クソッ!」 まだ半分寝たままのノブナガは急いで着るものを探したが、散らかった家の中にすぐ着れるものなど 見つかるハズもなく頭をボリボリかきながらパンツ一丁で玄関へ向かった。 『ガチャ』 ドアを開けると起きたばかりのノブナガには眩し過ぎる程の朝日が一気に部屋の中に差し込んだ。 その光にノブナガは眉を顰めた。 「様より速達です。」 また、あの明るく元気な声が家中に響き渡る。 「おい、わりぃがあいにく俺は起こされたばかりで機嫌が良くねぇ。さっさとその速達とやらをよこせ。」 甲高く大きな声に苛立ちを隠せないノブナガ 「は、はい・・・。そ、そ、それでは・・・ど・・うも・・・。」 配達員はノブナガの普通ではない雰囲気を察し素早く手渡すと足早に去って行った。 『ガサガサ・・・』 ノブナガは受け取った封筒の封を大雑把に破り開けた。 その中には一枚のカードが入っている。 「何だコレ・・・・?」 ★一人寂しい誕生日を過ごすノブナガへ★ ノブナガと知り合ってからもう2回目の誕生日だね! もう若くないんだから無理は禁物だよ♪ 改めて、誕生日オメデトウ ! ! by P・S 朝早く起きたんだからたまには家ん中、掃除でもしたら? イイ事あるかもよ ? ? 「なんだ?アイツ・・・。」 そう言いながらもノブナガの顔はさっきとは打って変わって優しい顔になってしまっている。 ノブナガは思いっきり伸びをし、髪を後で束ねると家中の窓を開けると滅多にする事のない掃除を始めた。 『ガチャン・・バサバサ・・ザッ・・ザッ・・』 いつの間にか小鳥のさえずる声はなくなりキラキラと眩しい朝日は、 まだ夏の暑さを残した日差しに変わっていた。 「ったくよぉ〜、誰がこんなに散らかしてんだよ! ・・・・って俺かよ !? 何が楽しくてこんな日にに 言われた通り一人で掃除なんかしてんだよ?俺は・・・まったくよぉ・・・・。」 なかなか片付かない家の中に対して文句を言いながらもノブナガの手は動いている。 『ガチャン・・バサバサ・・ザッ・・ザッ・・』 「なぁーんか腹減ったなぁ・・・。思ったよりチョロいもんだぜ。しょうがねぇ・・・。あと一踏ん張りするか!」 暗くなる前に終わらせるつもりのノブナガがそう決めた頃には家の中には西日が差し込んでいた。 何とか日が落ちる前に終わらせようとノブナガはラストスパートをかけた。 「ふぅ〜。ようやく終わったぜぇ。」 家の中心にあるリビングと言うのは大げさな部屋の真ん中に立ち、 グルリと一周見渡したノブナガは何とも 言いようのない満足感で胸がいっぱいだった。 「それにしても片付き過ぎてちょと落ち着かねぇなぁ・・・。(汗」 そう言いながら家の中を一通り見て回ると小さなリビングに置いてにあるソファーに腰を掛けた。 『ドンドンドンドン ! ! ! ! 』 「すいませーんっっ!外に干してあった洗濯物が飛ばされてきてたんですけど開けてもらえますかぁ〜?」 ノブナガがようやく一息つけるかと思った矢先、玄関の向こうから何やら騒々しい声がした。 「なんだよ、まったくよぉ・・・。ちょと待ってくれよな!」 小さな声で文句を言った後、ドアの向こうで待つ突然の来客に声をかけた。 『ガチャ』 ドアを開けると顔が見えない程、沢山の洗濯物を抱えて立っている来客・・・。 「おっ !? わりぃな。」 ノブナガはその姿に驚いたが素早くシーツなどの混じった全ての洗濯物を受け取った。 洗濯物を手渡した来客のその手には、まだ四角い白い箱が残されている。 「(・・・箱?)」 手に残る箱を不思議に思い上を向いたノブナガは声が出ない程の驚きを見せた。 「わッッ ! ! 誕生日おめでとーっっ ♪♪」 「 ! ? な、何でだ? ? ? お前、忙しいんじゃねーのか ? ! ? ! ?」 突然のの訪問にかなりの動揺を見せるノブナガ 「にゃははは(笑)ビックリした?せっかくの誕生日なのに一人は寂しくない?」 驚くノブナガの姿を見て嬉しそうな 「はいッッ ! ! ケーキ持って来たから一緒に食べよ♪どうせご飯もまだでしょ?」 は無邪気な笑顔でそう言った。 「お、おぅ・・・・。」 9月8日(晴れ)pm6:48 本日、残り約5時間ノブナガは突然の来客により 一人寂しくない誕生日を過ごせる事となった。 「あっ、そうそう!今日、泊めてね!」 「 ! ! ! あぁ ? ! ・・・あー・・・・・・・・・・お・・・・おぅ。 ///// 」 ****あとがき**** この作品は2004年に投稿したものですが、どうしてもノブナガと一緒に誕生日を過ごしたいと願う 私の為に作ったものです・・・(汗 この作品は本当に気持ちがこもった物なのでノブナガ好きな人が楽しんでもらえれば嬉しいです。 back